「キューバ人は7回結婚して、7回離婚する」って本当!?

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オープンカーでのお披露目

オープンカーでのお披露目@キューバの結婚式

  仲睦まじいという言葉は、この夫婦のためにあるといってもよいくらい、仲良しだったふたり。知り合って5年、結婚して3年のキューバ人夫婦は、3月後半にハバナで会ったとき、しっかり手をつないで、ときに道の真ん中でハグしたりもして、新婚のような雰囲気でした。   だのに、なぜ? 「4月の初めに別居して、9月には離婚しました」と奥さんからの突然のメールが来たのです。衝撃のあまり、そのとき世間をにぎわせていた「福山雅治結婚」のニュースがかすんでしまったほどでした。   アニメが大好きな夫は、キューバでは珍しい、シャイな「草食男子」タイプ。2011年、雑誌の取材でふたりのなれ初めを聞いたのですが、奥さんがアプローチをして交際にこぎつけ、お互いの好きなことや世界観を尊重しながら関係を育んだという、実に地に足がついた印象のカップルでした。   それだけに、離婚の知らせで「人間不信」ならぬ「結婚不信」に陥りそうになったのですが、ここでキューバならではの離婚事情を考えてみる必要がありそうです。

離れた親と毎日電話

  「キューバ人は7回結婚して、7回離婚する人も珍しくない」。そう聞いて、4年前、結婚と離婚事情を取材したところ、まず驚いたのは、キューバという国は「離婚しやすい」制度が整っていること。夫か妻、どちらかが離婚を申請して6ヶ月経つと、相手が同意しようがしまいが、自動的に婚姻関係が解消されます。   そして子どもと親の距離感が、「離婚後もそれほど変わらない」のです。キューバの固定電話は安いので、離れて暮らす親と子どもが毎日のように電話で話をしたり。週末はいつも会いにいったり。はたまた再婚した家庭のホームパーティに子どもをよんであげたり。自分たちの都合で親は別れたけれど、「子どもまで親と別れなければいけないのはかわいそうだから」とキューバの離婚経験者は口をそろえていました。   「前の前の奥さんの子ども」と、「前の奥さんの子ども」と「今の奥さんの子ども」というふうに、数回離婚した人が、違う奥さんの子どもたちをよんで、一緒に遊ばせることもよくあるそうです。おおらかというか、気にしないというか。  

慰謝料は発生せず

  養育費は払わないといけないのですが、キューバは教育費、保育料、医療費どれも無料なので、それほどかさむ額なのではないかと思います。しかも養育費がしっかり払われないと、別れた相手の職場に請求することができるとのこと。安心です。   これも驚いたのですが、離婚にともなう「慰謝料」は発生しません。「私有財産」に対する考え方も日本と違うようです。家は原則的に国のもの。離婚した場合、どちらかが出ていくか、家が見つからない場合はなんと、「家のなかに壁をつくってそのまま住む」こともあるのだとか。   女性の社会進出が進んでいるうえ、実体はともかく、社会主義国なので収入もほぼ平等、かつ、食糧配給などセイフティネットもある。困ったときはコミュニティで助け合うことも多い。経済的な事情が直接、離婚の足かせになることがあまりないようです。  

意外にドライな結婚式

  それでも、愛を誓った同士が離れるなんて感情的につらいはずでは。ここでひとつ興味深かったのが、キューバの結婚式を取材したときのこと。恋愛に情熱的なイメージが強いキューバ人ですが、結婚式自体はとっても事務的。お役人が出てきて、新郎新婦が書類にサインするだけです。それで終わり。日本みたいに、キリスト教の牧師さんが登場して「永遠の愛を誓いますか?」なんて盛り上げる場面もなし。事務手続きのあと、家族や友だちでごちそうを食べたり、ダンスしたり、楽しいパーティをして終了。「結婚式で神と約束してしまったし…」というのが離婚をためらう理由にならないのです。   そうはいっても、一緒に暮らせば、情もわくはず。そんなに後腐れなく、ドライに関係を断ち切れるものでしょうか? 離婚を経て再婚した50代のキューバ人女性に聞いてみたら、こんな答えが返ってきました。「最初はとってもつらかった。でも半年もすれば大丈夫。キューバには明るい太陽があり、海がある。そして次なる出会いもね」   結婚式場、つまり「お役人にサインをしてもらう場所」でこんな年配カップルにもあいました。「昔、私たちは結婚していた。そのときはお互い合わなくて離婚したけれど、数年経って、気持ちがまた戻ったのよ」とは奥さんの言葉。旦那さんは耳が不自由でふたりは手話で話していたのですが、お互いの手の動かし方から愛が伝わってきました。   人生何が起こるかわからない。元サヤだってあり。そう思って、友人の離婚のニュースにびっくら傷心ぎみな自分の心をなぐさめています。

Author Profile

斉藤 真紀子
斉藤 真紀子
日本経済新聞米州総局(ニューヨーク)金融記者、朝日新聞出版「AERA English」編集、週刊誌「AERA」専属記者を経てフリー。共著に「お客様はぬいぐるみ」(飛鳥新社)。趣味はラテン音楽&ダンス、カポエイラ(格闘技)
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