カリブ海の島国、本州の半分くらいの大きさのキューバ。写真家の関口照生さんは陸を伝い、首都ハバナから東にあるサンティアゴ・デ・クーバに向かい、各地を訪れるなかでこう感じたそうです。
「道をなくして、キューバを語れない」
写真展「EL camino de Cuba(キューバの道)」では、関口さんがキューバで出合った道の表情を、さまざまに映し出します。
地べたに座り、麦わら帽とサングラスでトランペットを吹く男性。
ベンチでベース、ギター、バイオリンを弾き、パーカッションを鳴らし、歌う楽団。
カラフルな建物が並ぶ通りに、カーニバルの装いで闊歩する大道芸人。
道ばたで遊ぶ子どもたち、色とりどりのファッションに身を包む女性たち。
1950年代以前から走るクラシックカーを道路わきで修理する人。
ここまではハバナで目にする光景です。さらに、がらりと風景は変わり、
日系人が多く住む、青年の島(Isla de la Juventud) に続く桟橋。
トラックの荷台に座って移動する、人びとの背中。
脇に草が生えた素朴な道をカーボーイハットで馬に乗ってすれ違う男性。
カマグエイ地方の通り沿いに、屋根より高く干された洗濯物。
キューバのディープな地方や、生活のなかに入っていくような情景が広がります。
「海外で撮影するときは、地元の人と同じものを食べ、地元の人とともに生活をする」と話す、関口さん。
各地で食した料理は、キューバに滞在経験があり、関口さんの案内をしたスペイン在住のピアニスト、川上ミネさんが記録したスケッチが展示されていて、バラエティに富んでいます。
私(キューバ倶楽部、斉藤)がもっとも心をひかれたのは、線路を歩く少年の後ろ姿でした。キューバを旅したとき、こうした素朴な風景は、「ただの何もない道」としか思わなかったのに、この作品の前に立つと「この先に何があるのかな」「子どもはどこに向かうのだろう」といった想像から始まって、「独自の社会主義を進むキューバはどこに行くのか」「道はどこまでが道でどこからが道でなくなるのかな」というふうに、「道」が大きな問いを投げかけてきたのです。
にぎやかな道も、シンプルな道も、なぜか胸がいっぱいになる、「El Camino de Cuba」。あなたの好きな「キューバの道」はどれですか?
関口照生 写真展「El camino de Cuba(キューバの道)」
2024年1月10日~27日
ギャラリー冬青
11:00~19:00
東京都中野区中央5-18-20
TEL:03-3380-7123(代)
HP:http://www.tosei-sha.jp/TOSEI-NEW-HP/html/EXHIBITIONS/j_exhibitions.html
関口照生さんオフィシャルウェブサイトはこちら
Author Profile
- キューバ倶楽部編集長、ライター。ニューヨークでサルサのレッスンを受けたのをきっかけに、2000年に初めて訪れたキューバが心のふるさとに。
旅をするたびもっと知りたくなるキューバを訪れ、AERA、東洋経済オンライン、TRANSIT、ラティーナ、カモメの本棚、独立メディア塾ほか多数の媒体で記事を執筆。
2015年にキューバの現地の様子や魅力を伝える「キューバ倶楽部」をスタート、旅の情報交換や勉強会、講演会などのイベントも運営。
★キューバのエッセンスを生活に取り入れる日々をnote(https://note.com/makizoo)に綴る。
★Twitter: @cubaclub98 ★ Instagram: @cubaclub98