ハバナを歩いていると、「オッス」というあいさつがわりに、「チーナ!」とよく言われます。「あっ中国人だ!」みたいなノリ。男性だったら、「チーノ!」と声をかけられます。
正面から明るく呼びかける人のみならず、すれ違いざまに耳元でささやくタイプもいます。それにまじって、ときに「リンダ!」とヨイショしてくれるのは、ラテンの国ならでは。こちらは「べっぴんさん」といったニュアンスです。
いちいち反応しているときりがないので、たいてい「チーナ!」の呼びかけにはスルーします。ただ、聞こえないふりを決めこむときに限って、「昨日サッカー場で会った人たちだよね」と話しかけてくれる屈託のない少年がいたり、「サンダル左右逆にはいているよ」と教えてくれる親切なおじさまがいたりする。
現地の人とのコミュニケーションを遮断してしまうと、楽しい機会を逃してしまうことになるのです。
日本語フレーズを連発された
あるとき、あまりに明るい笑顔の若者が笑顔で「チーナ!」と呼びかけたので、「ハポネサ!」(日本人だよ)と訂正したら、「さよなら」「元気ですか?」「こんにちは」と立て続けに日本語フレーズを連発。「順番違うだろ」と突っ込みたくなるのを我慢して、「日本語上手!!」と拍手を送ってしまいました。
笑いを取るのが上手なキューバ人は多いのですが、「人のことを指さして、ガイジンっていったらだめなのよ」と親に言われて育った日本人としては、「チーナ!」を連発されると、親しみをこめられているのか、からかわれているのか、いささか混乱してしまうわけです。
ところが、そんなもやもやが一気に晴れるような出来事がありました。以前取材で訪れたときに、友だちになったキューバのカメラマンさんと2015年に再会し、街を歩いていたときのことです。彼はおじいさんが中国人で、アジア系とキューバ系両方の血をひいています。
キューバ人に学ぶ切り返し術
私と日本人女性の友人、そしてキューバ人カメラマンと3人でいたのですが、彼の友だちや、見知らぬ人たちが、彼に「チーノ!」「チーノ!」とあちこちから呼びかけるではないですか。その頻度は私たち日本人女性が「チーナ!」と言われるより、よほど頻繁でした。
そして彼はいちいち、笑顔で返すのです。「顔はアジアだけど、心は生粋のキューバ人だよ」と、こてこてのキューバなまりで。相手が驚く反応を楽しみ、そこからまたジョークを交わして笑い合っている。
あとで、「あんなにみんなにチーノと言われて、うざくない?」と聞いたら、そのキューバ人カメラマンは「まあ、そんなものでしょ」と、むしろ楽しそう。
たまたま彼は仏様のような性格なのかもしれませんが、それから私のなかで何かが変わりました。「チーナ!」と言われても、うっとおしさがなくなった。
いつかキューバンスラングで、お返しパンチをお見舞いして、笑いを取りたいな。そんなふうに考えて、にやけるようになったからかもしれません。
Author Profile
- キューバ倶楽部編集長、ライター。ニューヨークでサルサのレッスンを受けたのをきっかけに、2000年に初めて訪れたキューバが心のふるさとに。
旅をするたびもっと知りたくなるキューバを訪れ、AERA、東洋経済オンライン、TRANSIT、ラティーナ、カモメの本棚、独立メディア塾ほか多数の媒体で記事を執筆。
2015年にキューバの現地の様子や魅力を伝える「キューバ倶楽部」をスタート、旅の情報交換や勉強会、講演会などのイベントも運営。
★キューバのエッセンスを生活に取り入れる日々をnote(https://note.com/makizoo)に綴る。
★Twitter: @cubaclub98 ★ Instagram: @cubaclub98
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ダルビッシュがされた差別から
「キューバ人の性格」検索から来ました!
今晩わ☆
50歳突入してしまったおばさんです。
若い頃の記憶が蘇ってきたので
コメントさせていただきますねっ。
外国では、すれ違いざまに
「ジャップ!」シナ タイ等々ありました。
その時の状況によって違う気がしますが、
言われて気分悪くなってました。
当時20代から30代前半の頃、アメリカとヨーロッパに10年暮らしていました。生まれ育ちが京都で外人は見慣れていましたし友人も旦那も白人で差別される事は無いのですが、言われるとドキッ。っとします。白人が一緒だったら
ガミガミ八つ当たりしてました(^^;)
親戚が遊びに来てくれた時は目を吊り上げたジェスチャーを15〜18歳くらいの少年にされドン引きでした。その人はイケメンで私も面長で目鼻立ちがはっきりとしています。ダルビッシュもカッコいいから一種のジェラシーだと思います!ブログからは外国に居られるとの事ですね。また訪問させて頂きます!
頑張って下さいね♡
コメントをいただき、ありがとうございます!
メジャーリーグでプレーをしているグリエルが、ダルビッシュに向かって、目尻を引っ張りあげて、差別的なジェスチャーをしたことで大問題になったニュースは衝撃でした。
こうした行為は米国、のみならず、もちろんほかの国では言語道断でも、キューバはまた違うのかなと思ったりします。よくアジア系の人たちに「チーノ」「チーナ」と呼びかける人もいるので、「悪気がなくて」というグリエルの言い訳も、本音が含まれているかもしれません。
ここ数年でキューバでもずいぶん、「チーナ」と言われることが少なくなってきたように思います。
パキラさんのような体験も、いろいろな国でまだありますよね。
「こういうことをされたら、あるいは言われたらいやだろうな~」という認識を共有できたら、あるいは、相手にうまく伝えることができたらいいなあと、私もいつも思います。