キューバからの「あけおめ」メール~最新のネット事情①

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筆者撮影 キューバ東部、サンティアゴ・デ・クーバで、wi-fiが使える数少ない公園

筆者撮影
キューバ東部、サンティアゴ・デ・クーバで、Wi-Fi(無線LAN)が使える数少ない公園

手紙はいつ届くかわからない。メールは何か月後に返信が来るかわからない(民泊など、ビジネスをしている人は例外で返信がとても速いです!)。そんな、まだまだアナログ色の濃い通信事情のキューバから、2人の友人が、予期せぬ「あけおめ」メールを送ってくれました。

一人目からはまだ晦日にも届かない日に舞い込んだ、フライングぎみの「あけおめメール」。暮れなのに、年始のメッセージが飛んできた理由があとでわかりました。二人目から来たメールに、こう書いてあったからです。

「メールが混雑して、なかなかネットにつなげなかった」

つまり、年末年始はネット接続ができなくなりそうなのを見込んで、早目にメッセージを飛ばしてしまったようです。数年前に取材で出会い、メールのやり取りも半年に1回くらい、現地で連絡が取れれば会う、といった彼女から届いたサプライズな「あけおめメール」を通して、現地のメール事情が垣間見えた感じがしました。

日本でも、「年明け直後のメール送信は控えましょう」と、通信会社からお達しがあったこともありましたが、キューバも、増える利用者の数に、Wi-Fiの普及が追い付かないこともあってか、年末年始に限らず、回線がダウンするようなのです。

観光客がネット接続をあきらめたくなる理由

 

実際、キューバでネットに接続するには、不便なこと、このうえありません。まず、公園やホテルなど、Wi-Fiがつながる限られた場所を探さなければいけません。これがひと苦労。数ある公園やホテルのなかでも、ほんの数か所という「限定スポット」だからです。

そして、あらかじめETECSA(エテクサ)という国営通信会社が発行しているWi-Fiカードを、ETECSAの会社のオフィスか、Wi-Fiが通じるホテルなどで、購入しておく必要があります。そのうえで、IDナンバーやパスワードをスマホやPCのログイン画面に打ち込み、ネットにアクセスします。しかし、これが、けっこうな確率でつながらない。

筆者撮影 キューバのwi-fiカード。国営通信会社、ETECSA(エテクサ)が発行するプリペイド式wi-fiカード

筆者撮影
キューバのwi-fiカード。国営通信会社、ETECSA(エテクサ)が発行するプリペイド式Wi-Fiカード

観光客の私が、キューバでネット接続をあきらめたくなる理由はこれだけあります。

まずもって、カードが手に入りにくい! 街中のETECSAの長い列に並んだり、Wi-Fiが通じるホテルを見つけても、宿泊者以外は値段が割増になるか、売ってくれないところもある。売り場でも、ホテルの担当者がすぐどこかに消えてしまったり、カードが購入できる「営業時間」が短くて困ったり。街でカードの「売人」から安くゲットする手もあるが、本当につながるのか不安もあります。(イライラ度★★★)

カード裏面のパスワードをコインでこすって削っていたら力が強すぎて、パスワードのナンバーが消えてしまった。(もちろん新しいのと替えてもらえなかった)(イライラ度★★)

IDナンバーやパスワードが12ケタあるので、スマホに打ち込んでいるうちに、途中で間違えたりやり直したり。クレジットカードみたいに4ケタごとに空白で区切ってくれるとありがたい。(イライラ度★★★)

カードの有効時間を大事に使うため、ログイン画面のブラウザーを閉じているにもかかわらず、ログアウトしなかったために時間切れになってしまった。(イライラ度★★★)

ホテルのロビーでネット接続するためにドリンクを注文したが、何度も何度もトライして結局つながらず、ジュースを飲んでホテルを後にした。(イライラ度★★★★★)※ハバナでどうしても仕事でネットに接続する必要があるときは、旧市街のHotel Parque Central (ホテル・パルケ・セントラル)や、新市街のHotel Habana Libre(ホテル・ハバナ・リブレ)に行っています(ドリンク注文など必須ではない)。

キューバのすてきなクラシックカーの写真をFacebookにアップしようと思ったら、画像の容量が重すぎて送れず、時間切れになってしまった(イライラ度★★★)

自分がやっとのことでログインできたとしても、連絡を取りたい相手がいつ、ネットに接続できるかわからず、待ち合わせなど緊急の連絡はできない。(あきらめ度★★★)

街からこつ然と姿を消すこともある、Wi-Fiカード

 

ただWi-Fiカードの価格は、購入する場所にもよりますが、1時間1CUC(1米ドル、約110円ぐらい)~3CUCぐらいと、以前に比べてだいぶ価格が下がりました。

これほど労力をつぎこむくらいなら、ほかに時間を使いたい。「もうキューバにいる間はインターネットにつながない」と覚悟を決め、アナログで過ごす旅の時間を徹底的に楽しむのがおすすめです。そうすることで、ふだんいかにネットに依存しているかに気づかされますし、メールやネットの情報からしばらく離れるだけで、リラックスして癒されるという、思わぬ効用も実感することができました。

筆者撮影 wi-fiカードの裏面にはID番号とパスワードがあり、ホテルや公園でネットに接続できる

筆者撮影
Wi-Fiカードの裏面にはID番号とパスワードがあり、ホテルや公園でネットに接続できる

 

キューバで暮らす人たちに聞いてみると、ネットに接続する1CUC程度の価格(CUCは外国人の兌換ペソの単位。現地の人たちは、CUCの約25分の1の価値であるCUPとよばれる通貨で生活している)は決して安くはないうえ、たびたびこのカードが街中からこつ然と姿を消すこともあるとか。お金がある人は、まとめ買いをしているそうです。

現地の人たちがネットを使う理由の大半は、遠くに住む親戚や友人などとのメッセージのやり取りや動画チャットなど、コミュニケーションの手段のようです。公園でもやはり通信状況は不安定で、つながらないことも多いそうです。

家庭へのネット普及はいつになる?

 

2016年末には、ETECSAが米グーグルとネット接続に関して協定を結んだと発表されました。昨年もハバナで大規模な工事が行われていて「家庭でインターネットが使えるようになる」と聞きましたが、2018年現在までに大きな変化は見られず、「今年中には」と言われてはいるものの、実際は「いつになるのかわからない」とキューバの人たちも半ばあきれて笑っていました。

はてさて、キューバの街並みと一緒で、変わりそうで変わらないネット事情(街並みについてはこちらの記事)ですが、驚くべきは現地の人たちの情報量です。テレビ番組も新聞も国営で、内容が限られていますし、Wi-Fiが普及しているとはいえ、インフラも整っておらず高額なのでインターネットを通じて情報を取る機会はまだまだ少ないはず。

それなのに、なぜか情報社会に取り残されず、世界の情報への感度がすこぶる高いキューバ人が多いことに驚きます。現地の人はどのように情報収集を行っているのでしょうか。その秘密は次の記事に!!

Author Profile

斉藤 真紀子
斉藤 真紀子
日本経済新聞米州総局(ニューヨーク)金融記者、朝日新聞出版「AERA English」編集、週刊誌「AERA」専属記者を経てフリー。共著に「お客様はぬいぐるみ」(飛鳥新社)。趣味はラテン音楽&ダンス、カポエイラ(格闘技)
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