新年のご挨拶&キューバ行きの新たなハードル、「ESTAの問題」を乗り越える

LinkedIn にシェア
LINEで送る
Pocket

ハバナ旧市街の街並み(撮影:斉藤真紀子)

明けましておめでとうございます。2023年もよろしくお願いいたします。

コロナ禍が落ち着けば、キューバへの渡航がしやすくなる。そう思っていたのですが、現段階でいくつかハードルがあります。

まず、以前に比べて日本からキューバへ渡航できる航空便が限られていて、航空券が高額なこと。

もうひとつは「2021年1月2日以降にキューバの渡航歴があると、米国に入国するときにESTA*(エスタ)が使えなくなる」との発表が2022年後半、米国大使館からあったことです。

*日本国籍を持つ人は、ビザ免除プログラムが適用され、パスポートと航空券、短期の観光や商用に限り、ビザなしで90日間滞在できます。ただしこの場合、渡航前にESTA(電子渡航承認システム)をオンライン申請して取得する必要があります。米国での乗り継ぎの際にも必要です。有効期限は2年間です。

米国はキューバを「テロ支援国家」に指定

なぜキューバに渡航すると、米国にESTAを使って入国できなくなるのか。

理由は、米国のトランプ政権(当時)がキューバを「テロ支援国家」に指定したからです。イラン、スーダン、シリア、北朝鮮といった「テロ支援国家」に渡航歴があると、米国に入国するとき、ビザ免除プログラムが適用されている国であっても、ESTAが使えなくなるのです。

2022年9月当初、この注意喚起はヨーロッパの国々や、ESTA加盟国とキューバの二重国籍を持つ人へ向けられたものとされていました。

米国経由でキューバに行くリスクが高まった

ところが、実際に日本国籍を持つ人が、米国を経由してキューバに渡航し、ESTAが無効になったケースが相次ぎました。

<2022月9~10月にTwitterで紹介されていた例>(キューバ在住の@laylah_lifeさんからも情報をいただきました)
●(米国⇔キューバの往復旅行の帰り)キューバから米国に渡航した日本人が、米国に入国はできたが、ESTAを無効にされた(次からは使えない)
●キューバに滞在している日本人が、米国経由で日本に一時帰国した。日本から米国経由でキューバに戻ろうとしたときに、成田空港で「ESTAが無効」のため(米国系航空会社により)搭乗を拒否され、欧州経由のチケットに買い替えた

駐日アメリカ大使館のサイトで正式に発表があったのは11月。
「2021年1月2日以降にキューバに渡航、滞在した人は、ESTAが無効になります」
という内容でした。

キューバの入国スタンプに日付がなくても

キューバでは入国時、パスポートに押されるスタンプに、日付がないこともあるのですが、だからといって大丈夫というわけではないようです。

ESTAの申請書では、「特定国への渡航歴の有無」を聞かれます。虚偽の内容を記載すると、判明したときにトラブルになりかねません。

ESTAが使えなくなる代わりに、観光目的で渡米するにはB2ビザの取得が必要となりますが、実際に手続きは大変なのでしょうか。

米国渡航ビザの申請に面接もある

B2ビザの取得には、書類申請と面接があり、1~2か月かかるとの情報が多いです。大使館のサイトはこちら

以前、キューバ倶楽部のイベントにゲストとしてお話をしてくださった、リーマントラベラーこと東松寛文さんは70カ国以上を旅していますが、イランに渡航するにあたって、米国のビザを取得した経験があります。

そのときのプロセスがこちら
(*時間が経っているので、現在も同じ状況とは限らない可能性があります)

B2ビザを取得すれば最長10年の有効期限があり、その間は米国に往復が可能です。とはいえ、米国渡航のための手続きがESTAに比べて手間がかかるため、キューバに行くことにためらいを感じてしまう人もいるかもしれません。

ぜひキューバへ行こう!

こうして、「キューバ観光に二の足を踏む人が増える」ことが、外交上キューバと対立関係にある米国の狙いとみられます。

パンデミックが落ち着いたら「キューバに行きたい!」「行く予定がある!」という声をたくさん耳にしてきました。

なかなか大変な状況ではありますが、ぜひみなさん、ESTAの状況にくじけず、あきらめずキューバに行きましょう。


*ESTAや米国ビザについてわかりにくい部分を修正、追記しました(2023年1月4日)。

Author Profile

斉藤 真紀子
斉藤 真紀子
キューバ倶楽部編集長、ライター。ニューヨークでサルサのレッスンを受けたのをきっかけに、2000年に初めて訪れたキューバが心のふるさとに。
旅をするたびもっと知りたくなるキューバを訪れ、AERA、東洋経済オンライン、TRANSIT、ラティーナ、カモメの本棚、独立メディア塾ほか多数の媒体で記事を執筆。
2015年にキューバの現地の様子や魅力を伝える「キューバ倶楽部」をスタート、旅の情報交換や勉強会、講演会などのイベントも運営。
★キューバのエッセンスを生活に取り入れる日々をnote(https://note.com/makizoo)に綴る。
★Twitter: @cubaclub98 ★ Instagram: @cubaclub98
LinkedIn にシェア
LINEで送る
Pocket

2 thoughts on “新年のご挨拶&キューバ行きの新たなハードル、「ESTAの問題」を乗り越える

  1. 初めまして。
    とても有益な記事をありがとうございます。

    キューバに行ってみたくて、予めB-visaを駐日米国大使館で取得しようと思っています。キューバから帰国した後も、仕事でアメリカに行く可能性がゼロではないためです。出張ベースであれば、これで問題は回避出来るのですが、万が一米国駐在の話が出たときにE-visaが取りにくくなる可能性はあるのでしょうか?(取りにくいどころかもはや取れない?)

    キューバの景色が損なわれる前に訪問したいですが、社会人のため仕事に支障を来してしまう可能性は排除したく、分かる範囲でご助言いただけると幸いです。(責任は取れないのはごもっともなので、どこに問い合わせをすべきか教えて頂けるだけでも助かります。)

    初めましてで不躾なお願いとなりますが、是非よろしくお願いいたします。

    • 初めまして。
      メッセージありがとうございます。

      キューバ渡航後のE-visa取得につきまして、取りにくくなる可能性はほとんどないと考えています。
      (イランや北朝鮮などと同じように)キューバを訪れた後、ESTAが使えなくなったのは、
      (観光収入が重要な)キューバに、観光客が心理的に行きにくくなるという狙いがあると言われていますが、
      実際にB-visaが取れなかった(キューバに行く旨を伝えたとしても)ということはないようですし、
      影響はESTAの使用にのみ、及ぶと考えていいのではないかと思います。
      とはいえ、ご心配な点もおありかと思いますので、
      ★ビザの申請代行をされている行政書士さん
      (例)
      https://attorney-office.com/blog/20221027ct
      ★キューバ旅行専門の旅行代理店、トラベル・ボデギータさん
      https://www.travelbodeguita.com/
      などで、はっきりとしたご回答をいただけるのではないかと思います。
      ぜひ、キューバ楽しんでいらしてください!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です