編集長の斉藤がハバナでのローリングストーンズライブに突撃取材してきました。
■ローリング・ストーンズがキューバにやってくる!
ローリング・ストーンズがキューバにやってくる。ハバナで野外の無料コンサート。キューバの観客はノリがよすぎて、地鳴りあり、地響きありのとてつもない空気になるのではないか。そう考えたら、いてもたってもいられなくなり、現地に飛びました。
ストーンズの思い出といえば、一昨年の東京ドーム。最前列、端っこの席が取れ、ひとり立ち上がって踊っていたのですが、振り向けばみんな座っているではないですか。その場で凍り付いてしまいました。
「ハバナで将棋倒しになったって、構わないぞ!」という意気込みで、出かけた「歴史的なコンサート」。地元の人たちでさえ、どんな雰囲気になるのか、想像が及ばなかったようで、「大きいカメラはもっていかないで」、「前後左右にひとりずつ、屈強な男性を警備につけて」と冗談まじりに脅かされました。
日本人の女性と、その友人のキューバ人男性2人に巡り合うことができ、スマートフォンを握りしめて、戦々恐々会場に乗り込んだのですが…。
■「ローリン、ローリン」と叫んでいた声が、途中から「オバマ、オバマ」に。
ピンクの夕暮れに染まった空の下に広がる、だだっ広い原っぱのような会場は、ピクニックを楽しむ人であふれる、のどかな雰囲気。
そこには、節電モードの薄暗い街、ハバナには不似合いな、きらびやかな舞台セットが、まるで宇宙船のように、あたりに光線ビームを放っていました。
ものものしい警備もなく、むしろ赤十字救急隊の若者たちの姿が目立っていたぐらいです。
欧米や中南米から集まった、外国人観光客は、首から大きなカメラをぶらさげ、大きなかばんをかついで歩いているので、拍子抜けしてしまいました。
もともとキューバの治安はかなりいいほうなのです。
日がとっぷりとくれ、20時半を少し過ぎて始まったコンサートは、ど派手ゆえにまぶしくて、ステージで奏でるリズムと観客の声が共鳴しあい、しびれるような心地よさ。
原っぱに集まった何十万人と揺れていたら、いつの間にか、私の背丈は完全に人の頭にうずもれてしまいました。
「ローリン、ローリン」と叫んでいた声が、「オバマ、オバマ」と、途中から変わっていきます。
となりで肩車をしている男の子を見上げて、「いいなあ」とつぶやいたら、190センチぐらいの背が高いキューバ人男性が、無言で肩車をしてくれました。
突如、視界が開け、目を皿のようにして見開くと、男も女も大人たちがたくさん肩車されているではないですか。
「二階建て」になって写真や動画を撮っています。ステージから放たれるカラフルな光も、観客のアタマがうねる様子も、現実離れしたスケール感でした。
→【次ページ2/2】キューバに根付く音楽文化とエネルギー、そしてその背景。
Author Profile
- キューバ倶楽部編集長、ライター。ニューヨークでサルサのレッスンを受けたのをきっかけに、2000年に初めて訪れたキューバが心のふるさとに。
旅をするたびもっと知りたくなるキューバを訪れ、AERA、東洋経済オンライン、TRANSIT、ラティーナ、カモメの本棚、独立メディア塾ほか多数の媒体で記事を執筆。
2015年にキューバの現地の様子や魅力を伝える「キューバ倶楽部」をスタート、旅の情報交換や勉強会、講演会などのイベントも運営。
★キューバのエッセンスを生活に取り入れる日々をnote(https://note.com/makizoo)に綴る。
★Twitter: @cubaclub98 ★ Instagram: @cubaclub98