2016年3月のローリングストーンズライブに来場していたモヒカンヘアのキューバ人男性。
年月を経ても、大きく変わらないキューバの街並み。そんななかで、じわじわと変化を遂げているものもあります。それは男の子の髪型!!
サイドは短めに、トップは長めにボリュームを持たせて、逆立てたり、波打たせたり。アレンジの幅が広がっているのですが、25歳、自転車タクシーをこいでいるおしゃれな男性に聞いてびっくり。
「せっけんを使って髪を立たせている」
油分が髪の毛をかためるのに、ちょうどいいみたいです。それまで、「ちびまる子ちゃんの花輪くんでもあるまいし」と、さほど興味をひかれなかった、男の子たちの頭上の盛り具合が、気になって仕方なくなってしまいました。
この男性、せっけんを使わないときは、寝押しと扇風機で、時間をかけてセットするのだとか。「寝押し」ってヘアアレンジにも使えるのか。時間の余裕がたっぷりあるからこそできるテクニックかもしれません。
髪を洗わないのがポイント!?
17歳の男性は、頭のてっぺんで、毎日違うヘアアレンジを楽しむ
さらに、ハバナ在住の友人の17歳になる甥っ子も、頭のてっぺんがいい感じに波打っていたので、どうしているのか、聞いてみました。
すると、わざわざ部屋から持ち出してきてくれたのは、古びた、小ぶりの女性用ヘアアイロン。強い味方です。さらに、とっておきのコツがあるのだとか。
「頭は2~3日に1度しか洗わないから、くせがつきやすくなる」
天然の頭皮オイルを利用すれば、ワックス必要なし、というわけです。なるほど。
これには、キューバの「水事情」もあります。海に囲まれている島国ですが、生活用水は豊富といえず、貯めた水を使ったり、定期的に断水したりする家も多いです。
シャンプーも豊富ではないので、ヘアスタイルに気をつかう女性でも、洗髪は3日に1度ぐらいの頻度が多いと聞きました。
本当のおしゃれとは?
ローリングストーンズライブに来ていた若者。
整髪料が不足しているキューバで、「おばあちゃんの知恵」のごとく、素朴なやり方で編み出される男性のアレンジテクニック。
お兄さんたちの飽くなき追及心に、「髪型は手がかからないのが一番」と思っていた自分も、刺激を受けてしまいました。
常夏に近い気候のキューバは、こまめにシャワーをしてさっと汗を流し、清潔感とセクシーさを満たすファッションを身にまとい、香水をふりかけて外出するおしゃれな人が多い。
だから、「貧しい国」というイメージを持って訪れると、人びとの気合いが入った着こなしに、驚くこともありそうです。
おしゃれはお金をかけることより、すてきに見せたいという心を失わないことなのだと、はっとさせられた、ヘアアレンジの裏話でした。
Author Profile
- キューバ倶楽部編集長、ライター。ニューヨークでサルサのレッスンを受けたのをきっかけに、2000年に初めて訪れたキューバが心のふるさとに。
旅をするたびもっと知りたくなるキューバを訪れ、AERA、東洋経済オンライン、TRANSIT、ラティーナ、カモメの本棚、独立メディア塾ほか多数の媒体で記事を執筆。
2015年にキューバの現地の様子や魅力を伝える「キューバ倶楽部」をスタート、旅の情報交換や勉強会、講演会などのイベントも運営。
★キューバのエッセンスを生活に取り入れる日々をnote(https://note.com/makizoo)に綴る。
★Twitter: @cubaclub98 ★ Instagram: @cubaclub98
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