キューバでナンパ修行も!?~津川雅彦さんの役者魂

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2017年5月キューバ倶楽部での「キューバの恋人」上映会&トーク

2017年5月キューバ倶楽部での「キューバの恋人」上映会&トーク

8月、俳優、津川雅彦さんが78歳で世を去ったというニュースが、衝撃とともに伝えられました。

ベテラン俳優、円熟味のある存在感、などのイメージが強い、津川さんですが、1969年の映画、「キューバの恋人」では、キューバ人女性に恋をして、果敢にアタックする、みずみずしい青年アキラを演じ、それもまた、なかなかのハマり役でした。

津川さん演じるアキラは、70年前後、実際に数多くキューバに渡っていた、日本人の漁業指導員がモデルになっています。キューバ倶楽部で、わかりやすい解説をしてくださる、トラベルボデギータの清野史郎さんも、ご家族が漁業関係のお仕事に携わっていたため、子どものころキューバに住んでいらっしゃいました。

アキラはすてきな女性を目にするや、駆け寄っていって、ほめ言葉を投げ、ナンパします。振られてもへこたれない。あきらめない。スペイン語も滑らか。ノンポリ青年だけれど、好きになった女性の心を理解しようと、チェ・ゲバラの本を開いたりもする。

現地で覚えたスペイン語

キューバ人男性に比べると奥ゆかしいイメージのある、日本人らしからぬ、アキラ。私もキューバに行ったとき、男性が道行く女性をほめたり、声をかけたりするのに驚いて、「あの勇気はどこから出てくるのか?」と、現地で通訳をしていた年配のキューバ人男性に聞いたことがあるのですが、「声をかければ少しでもチャンスがある。声をかけなければ100パーセントチャンスはない。だから、声をかけないのは”リスク”なのだ」と「名言」をいただいたのを思い出しました。

恋する女性のためなら、不屈の精神で立ち向かう。そんなアキラを自然に演じていらした、当時20代後半の津川雅彦さん。2011年、「ラテン・ビート映画祭」で「キューバの恋人」の上映のとき、登壇されて、ロケの様子について語っていらしたのが印象的でした。

ナンパはまず、気に入った人を「目で追う」のが秘訣であることを教わって、”修行”したこと。スペイン語はもともと、できなかったけれど、現地の人と話したり、女性に先生になってもらったりして覚えたこと。

2か月間におよぶキューバでのロケで、津川さんがとことんアキラという人物に寄り添ったからこそ、あのような自然なコミュニケーション力を身に着けることができたのでしょう。

ドキュメンタリーとしての価値

映画「キューバの恋人」は、昨年5月、キューバ倶楽部で、キューバの映画に詳しい寺島佐知子さん、清野史郎さんをゲストに迎え、上映会をおこないました。

津川さん演じるアキラが恋人を追ってキューバを旅する、ロードムービーでもあるこの映画からは、革命から10年ほど経った当時の空気がそのまま伝わってきます。

「この映画にはドキュメンタリーのような価値がある」と寺島さん、清野さんともお話されていらっしゃいました。 映画「キューバの恋人」は9月2日(日)~9月8日(土)まで、ラピュタ阿佐ヶ谷で上映中です。

いきいきとキューバを歩き、当時の社会や時代を知るための案内役も果たした、魅力あふれる津川さんに映画館のスクリーンでお会いすることができます。

Author Profile

斉藤 真紀子
斉藤 真紀子
キューバ倶楽部編集長、ライター。ニューヨークでサルサのレッスンを受けたのをきっかけに、2000年に初めて訪れたキューバが心のふるさとに。
旅をするたびもっと知りたくなるキューバを訪れ、AERA、東洋経済オンライン、TRANSIT、ラティーナ、カモメの本棚、独立メディア塾ほか多数の媒体で記事を執筆。
2015年にキューバの現地の様子や魅力を伝える「キューバ倶楽部」をスタート、旅の情報交換や勉強会、講演会などのイベントも運営。
★キューバのエッセンスを生活に取り入れる日々をnote(https://note.com/makizoo)に綴る。
★Twitter: @cubaclub98 ★ Instagram: @cubaclub98
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