イベントレビュー 「ヘミングウェイのアフリカとキューバ」

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2021年は作家アーネスト・ヘミングウェイの没後60周年。

アフリカを舞台にした「キリマンジャロの雪」(1936年)とキューバで執筆した「老人と海」(1952年)をいま読んだら、どんな魅力が再発見できるのだろう。

そんな問いかけがきっかけで、「アフリカとキューバの今という視点から、作品の味わいを語り合おう」という趣旨で、アフリカのジャーナリスト大津司郎さんと、日本キューバ友好協会理事の淡路香織さん、そしてキューバ倶楽部の斉藤真紀子と3人でイベントを開催しました。

12月4日は会場(写真)にお集りいただいた皆様、オンラインで視聴してくださった方々、ありがとうございました。コロナ禍で安全対策を講じながら、ご協力くださったブルー バオバブ アフリカさんにも深く御礼申し上げます。

「老人と海」の舞台となったキューバ、コヒマルのヘミングウェイ記念碑のすぐ近くで(撮影:Nobuyoshi Okita)

ヘミングウェイは1939年から、20年あまり、キューバに滞在しました。

淡路香織さんは、ヘミングウェイゆかりのさまざまなスポットを写真とともに紹介しながら、「老人と海」の主人公が、「結果」はともかく大きなチャレンジ(大きな魚を釣る)チャレンジに挑む話と、キューバ現地の人が「結果や見返りを期待するわけでもなく、一生懸命手を貸してくれた」という体験がリンクしたことなどをシェアしました。

斉藤は「老人と海」では年老いてなお挑戦しようとする主人公から、キューバでは高齢者が元気いっぱい、魅力に満ちてあふれている印象を思い出したこと。商業広告がないキューバでは、若者が主役になりがちな「資本主義の広告や価値観」にしばられない社会ゆえ、年配者が自信を持って輝けるのでは、と思ったことなどを話しました。

大津司郎さんは、「キリマンジャロの雪」で描かれる主人公が虚無や孤独を抱えていたことから、ヘミングウェイが何を求めてアフリカに行ったのかに思いをはせていました。広大なアフリカの自然は、厳しさのみならず、美しさやパワーを放ち元気を与えてくれる存在でもあるとのこと。「ハードボイルド小説」といわれるヘミングウェイの作品に、現代も「ハンティング」(またはゲームとよばれる狩猟)の場として人気のアフリカが、どんな役割を果たしているのかについて、考察をシェアしました。

「キリマンジャロの雪」で描かれる、1930年代の「男」と「女」は、現代の「ジェンダー」の価値観や概念とはだいぶ違うのではないか、という話から、キューバの社会的なジェンダー改革にも話題が及び、女性の社会進出やマチズモを変化させる取り組みについても語りました。

小説を通して映し出されるヘミングウェイの心の葛藤、旅を通してヘミングウェイが得たかったもの…。

さまざまなテーマがアフリカ、キューバを通して映し出された2時間だったのではないかと思います。ヘミングウェイの作品をいま味わってみたい、そんな思いをみなさんと共有できたなら幸いです。

◇大津司郎さんのサイトはこちら

◇日本キューバ友好協会のサイトはこちら

Author Profile

斉藤 真紀子
斉藤 真紀子
日本経済新聞米州総局(ニューヨーク)金融記者、朝日新聞出版「AERA English」編集、週刊誌「AERA」専属記者を経てフリー。共著に「お客様はぬいぐるみ」(飛鳥新社)。趣味はラテン音楽&ダンス、カポエイラ(格闘技)
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