キューバで米ドル使用が不可能に

LinkedIn にシェア
LINEで送る
Pocket

キューバ国内で使われている通貨、ペソ。米ドルに連動した兌換ペソとの二重通貨だったが、2021年1月に統一

両替は米ドルを使えず

キューバへ旅行(注)するとき、現地通貨への両替はどうしますか?とよく聞かれます。

キューバの通貨(ペソ)への両替は、現地の空港や両替所で、円、ユーロ、カナダドルなど、いくつかの通貨で両替ができます。空港や街中の銀行ATMで、日本のデビットカードやクレジットカードを使って、現地の通貨を引き出すことも可能です。

しかし、今後、米ドルは注意が必要です。2021年6月21日から、米ドル紙幣から現地通貨への両替ができなくなるとのこと。そもそも2020年6月までは、米ドルを両替する場合、10パーセント課税されていたので、以前もおすすめではありませんでしたが。

さて、この突然のニュース、キューバに住む人のあいだでは、驚きを持って受け止められたようです。何が起こっているのでしょうか。

経済制裁で米ドル決済ができない

米ドルの両替ができなくなると同時に、キューバに住む人は、6月21日より米ドルでの銀行預金ができなくなります。

背景には、米国のトランプ前大統領の在任期間に、対キューバ経済制裁が厳しくなったことがあります。世界の銀行や金融機関で、キューバから米ドルの送金を受け取ったり、両替したり、決済したり、といった業務ができなくなりました

キューバ国内の金融機関に米ドル紙幣があっても、どうすることもできず、外貨不足は深刻になるばかりだったのです。

今回の措置は「一時的」と発表されており、「キューバの金融システムを守るのにやむを得ない」と、キューバのメディアは説明しています。21日よりも前に銀行に米ドル預金をしておくぶんには、カードのオンライン決済なども可能ということです。

キューバの人に聞いてみたら、「そもそも米ドルが手に入らない」という反応もありましたが、ここのところ、国内で米ドルの重要性は高まっていたという報道もありました。

各地にある外貨ショップ

キューバ国内で、米ドルに熱い視線が注がれていた理由は、「購買力」のようです。

キューバ政府は2020年6月、米ドルの両替に徴収していた10パーセントの課税を取りやめましたが、続いて7月、各地に72軒のMLC(外貨)ショップ(通称ドルショップ)ができました。こうした施策の背景には、外貨を集めたい、というねらいがありました。

米国の経済制裁が厳しさを増し、モノ不足が深刻になっていたところに、コロナ禍が追い打ちをかけた時期です。

市民は、配給だけでは必要な食料や生活必需品をまかなえず、一般の店も長時間列ができていました。一方、外貨ショップは、米ドルを参考価格にしており、キューバでは高めの値段設定ですが、比較的、必要なものが手に入りやすい。

外貨ショップの支払いは、米ドルやユーロなど、外貨によるカード決済でのみ可能です。こうした背景もあり、米ドルの価値もあがり、闇のレートが高騰して、今回の措置の一因となったという情報もあります。

 

(注)旅行情報

キューバは2021年6月現在、旅行者に関しては、一限定的な地域(海、ホテルなど)のみ、観光客を受け入れています。PCR検査の証明や14日間の隔離等、必要事項があります。

一般市民は外出など部分的に制限があります。イベントは禁止、店は開いており、交通機関は制限付き運行、バーやレストランは制限付きの営業となっているようです。

Author Profile

斉藤 真紀子
斉藤 真紀子
キューバ倶楽部編集長、ライター。ニューヨークでサルサのレッスンを受けたのをきっかけに、2000年に初めて訪れたキューバが心のふるさとに。
旅をするたびもっと知りたくなるキューバを訪れ、AERA、東洋経済オンライン、TRANSIT、ラティーナ、カモメの本棚、独立メディア塾ほか多数の媒体で記事を執筆。
2015年にキューバの現地の様子や魅力を伝える「キューバ倶楽部」をスタート、旅の情報交換や勉強会、講演会などのイベントも運営。
★キューバのエッセンスを生活に取り入れる日々をnote(https://note.com/makizoo)に綴る。
★Twitter: @cubaclub98 ★ Instagram: @cubaclub98
LinkedIn にシェア
LINEで送る
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です