「チャンチャンから25年~キューバ音楽はどう変わったか」ボデギータ・トーク第六弾レビュー

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9月17日、ボデギータ・トーク第六弾、「チャンチャンから25年~キューバ音楽はどう変わったか」が会場とオンラインで開催となりました。

たくさんの方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

キューバ音楽ブームを起こした、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の25周年アルバム発売日も、ちょうどこの日でした。

「チャン・チャン」は、キューバの伝統音楽「ソン」の名曲ですが、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の演奏をきっかけに、世界に知られるようになりました。

というわけで、チャン・チャンに代表される、”ブエナ・ビスタ旋風”は何をもたらしたのか。キューバ音楽を深く知る3人に語っていただきました。

ブエナ・ビスタ以前は空白期間?


3時間にわたるトークのなかで、私がとくに印象に残ったのは、キューバは「どの時代も、音楽は豊かだった」ということ。

キューバを旅すると「音楽がいたるところから聞こえてきて驚いた」という声が多く、私も、流しのミュージシャンが奏でる洗練された音色に、圧倒されたことがあります。

しかし、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の映画(2000年、日本公開)には、不遇の時代を経て、再起をはかるミュージシャンの姿が描かれているからか、ブエナ・ビスタ以前、音楽の空白期間があったようなイメージもありました。

カーニバルと名門楽団


これに対して、キューバで革命(1959年)後、国をあげての大イベントだった、「カーニバル」について説明したのは、清野史郎さん(トラベルボデギータ)。

キューバで60~70年代、「人民による、人民のための」とうたわれたカーニバルが、華やかな山車とともに、歌や踊りのパワーを放っていたという話が印象に残りました。

さらに、80年代くらいまで、独自のサウンドにより、各地で観衆を熱狂させていた、15~20人で編成する、数々の名門楽団(オルケスタ)の魅力を岩村健二郎さん(早稲田大学准教授)が熱く語りました。

ソ連崩壊後、90年代からの厳しい経済状況もあり、消えていく名門楽団も多かったのですが、豊かな表現スタイルは、のちのキューバ音楽にも、大きな影響を残しているとのこと。

ただこのころの音楽は、積極的に、ビジネスとして海外に発信されていたわけではありませんでした。それゆえ、海外からみれば、キューバ音楽の「空白期間」といった印象を持たれたかもしれません。

美空ひばりのマンボからブエナ・ビスタまで


キューバ音楽が世界でどう受け入れられてきたかを解説した、高橋政資さん(アオラ・コーポレーション)によると、キューバ革命(1959年)前、1930~50年代のソン(ルンバ)、マンボ、チャ・チャ・チャは、日本でも美空ひばりが「お祭りマンボ」を歌ったように、世界に渡っていました。

それからしばらくたって、キューバ音楽が世界で存在感を示したのが、「ブエナ・ビスタの大ヒット」でもあったわけです。

キューバ音楽は、そのころから観光客や世界の聴衆にも目を向けて、音楽を届けるようになり、私もそのような時代の流れのなかで、ティンバ(サルサ)やソンに出合いました。

が、今回のボデギータ・トークで、キューバ音楽の背景にある、ふところの深さにふれ、改めて現地の人たちに愛されてきた音楽をじっくり聴いてみたいと思いました。

自分のなかでのインパクトが大きかったため、いささか、レビューの内容が単純化されてしまったかもしれません。

実際のボデギータ・トークでは、キューバ社会、経済、歴史と、音楽とのつながりについて、多岐にわたる「ここでしか聞けない」お話がてんこ盛りで、参加された方の発見も、さまざまだったかと思います。

ご意見、ご要望があればぜひお寄せください。

次回もまたどうぞお楽しみに!!

Author Profile

斉藤 真紀子
斉藤 真紀子
キューバ倶楽部編集長、ライター。ニューヨークでサルサのレッスンを受けたのをきっかけに、2000年に初めて訪れたキューバが心のふるさとに。
旅をするたびもっと知りたくなるキューバを訪れ、AERA、東洋経済オンライン、TRANSIT、ラティーナ、カモメの本棚、独立メディア塾ほか多数の媒体で記事を執筆。
2015年にキューバの現地の様子や魅力を伝える「キューバ倶楽部」をスタート、旅の情報交換や勉強会、講演会などのイベントも運営。
★キューバのエッセンスを生活に取り入れる日々をnote(https://note.com/makizoo)に綴る。
★Twitter: @cubaclub98 ★ Instagram: @cubaclub98
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