米映画「Vivo(ビーボ)」で描かれるキューバ、核となるテーマは?

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ネットフリックス(Netflix)で配信されている米国の映画「Vivo(ビーボ)」を観ました。キューバの首都、ハバナの風景がたくさん出てくるのですが、色とりどりの町並み、人びとの活気、音楽にあふれる雰囲気が粋に描かれていました。
 
ストーリーの出だしから、「核となるのは運命のいたずらで会えなくなってしまった、ミュージシャンの男女か!」と思い、以前ラテンビート映画祭で観て涙が止まらなかった「チコとリタ」(Chico & Rita, 2010年, スペインと英国の合作)を思い出したのですが…。
 
同じミュージカル&アニメーション映画でもがらり、空気が変わります。なにしろ、主人公はビーボ(Vivo)という名のアライグマ科の珍獣「キンカジュー」。敏速。ビーボの息もつけない動きのペースで、話はすすみます。テーマも恋愛のみならず、音楽、友情、家族もろもろてんこ盛り。音楽と会話のテンポのよさに、引き込まれます。

味わいとリスペクトでキューバを描く

 
ビーボが「キューバの音楽家をなめんなよ」と言いながら、敵に立ち向かっていく場面など、局面で「音楽の底力」を発揮するのには、にやりとしてしまいます。
 
物語の背景にはキューバ革命や、その後の2国間の事情もあるはずなのですが、そこにふれる代わりに、ストーリーのなかで思いを伝えること、わかり合うことの尊さが描かれていて、「米国とキューバの未来にも、期待をこめたのでは」と思ってしまったほどでした。
 
キューバの描き方には味わいとリスペクトがある一方で、米国社会の「生真面目さ」など風刺がきいていたのも印象に残りました。
 
 
 
 
<注目の出演者など>
声の出演:
●ビーボはリン=マニュエル・ミランダ(ブロードウェイ版「イン・ザ・ハイツ」主演、作詞、作曲)
●アンドレス(キューバに住み恋人を想うトレス奏者、ビーボの飼い主)はブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのファン・デ・マルコス・ゴンザレス
●マルタ(米フロリダ州に住む、キューバ出身の歌手)はグロリア・エステファン
脚本:キアラ・アレグリア・ヒューディーズは、映画「イン・ザ・ハイツ」の脚本も担当
 

Author Profile

斉藤 真紀子
斉藤 真紀子
キューバ倶楽部編集長、ライター。ニューヨークでサルサのレッスンを受けたのをきっかけに、2000年に初めて訪れたキューバが心のふるさとに。
旅をするたびもっと知りたくなるキューバを訪れ、AERA、東洋経済オンライン、TRANSIT、ラティーナ、カモメの本棚、独立メディア塾ほか多数の媒体で記事を執筆。
2015年にキューバの現地の様子や魅力を伝える「キューバ倶楽部」をスタート、旅の情報交換や勉強会、講演会などのイベントも運営。
★キューバのエッセンスを生活に取り入れる日々をnote(https://note.com/makizoo)に綴る。
★Twitter: @cubaclub98 ★ Instagram: @cubaclub98
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