ショパンコンクールで注目、キューバ出身のピアニスト

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キューバの共産党機関紙「グランマ」の2019年、ブアハサンさんの紹介記事

 

磨き上げられた技。聴く人をひきつける世界観。

世界3大コンクールのひとつ、グローバルに演奏活動をする若手ピアニストの登竜門といわれる、「ショパン国際ピアノコンクール」は、出場資格を得るための、予備審査からすでに「プロの演奏会」のようでした。

5年に一度のコンクールは、コロナ禍で一年延期され、この7月に予備審査となりました。出場者の演奏は、ユーチューブ配信しています。

そのなかで、注目されていたのが、キューバのホルヘ・ゴンサレス・ブアハサンさん。

予備審査を通過したのは、アジア、ヨーロッパ出身者が多く、中南米からはブアハサンさん、ただひとりだったからです。
★アジア上位は中国21名、日本13名、韓国7名、ヨーロッパ上位はポーランド11名、イタリア6名

ショパンの苦悩をどう表現するか


「ピアノの詩人」といわれ、心情が伝わってくるショパンの旋律は、奏でる人により、力強くも、繊細にも響きます。

こうしたなか、ブアハサンさんの演奏は澄み切った音色で、ショパンが味わった人生の苦悩や悲しみでさえも、音楽への愛おしさであたたかく包み込んでくれるような、安らぎをおぼえました。

曲目のなかに、「木枯らしのエチュード (Winter Wind)」がありますが、凍てつく厳しい寒さより、冬の幻想的な景色が目に浮かぶようでした。

こちらの動画で、5人目(最後)の演奏者です。

 

ハバナの名門音楽学校を卒業


ブアハサンさんは、1994年ハバナ生まれ。アレハンドロ・ガルシア・カトゥーラ音楽院で学びました。ジャズやラテン音楽など、数々の名だたるミュージシャンが輩出している名門校です。

キューバの教育は無償なため、音楽学校も授業料はかかりませんが、適性をみる入学選考や、折々の進級テストは、厳しい水準が求められるそうです。

10歳でコンクールに入賞するなど、ブアハサンさんは早くから才能を発揮し、2008年にはキューバ文科省の特別奨学金を得て、パリで学びます。さらに、14年にはパリ国立高等音楽院に入学しました。

現在は欧州を拠点に、数々のコンクールで入賞し、演奏活動を続けています。

ショパン国際ピアノコンクールは、16歳から30歳が対象で、今回ブアハサンさん含め、87人が出場します。

10月2日~23日に1~3次予選を経て本選となり、入賞者が決まります。

コンクールのもようは、ユーチューブ配信により、リアルタイムで視聴できます。「競い合い」とはいえ、演奏を通して、どんな世界にいざなってくれるのか、楽しみです。

 

Author Profile

斉藤 真紀子
斉藤 真紀子
キューバ倶楽部編集長、ライター。ニューヨークでサルサのレッスンを受けたのをきっかけに、2000年に初めて訪れたキューバが心のふるさとに。
旅をするたびもっと知りたくなるキューバを訪れ、AERA、東洋経済オンライン、TRANSIT、ラティーナ、カモメの本棚、独立メディア塾ほか多数の媒体で記事を執筆。
2015年にキューバの現地の様子や魅力を伝える「キューバ倶楽部」をスタート、旅の情報交換や勉強会、講演会などのイベントも運営。
★キューバのエッセンスを生活に取り入れる日々をnote(https://note.com/makizoo)に綴る。
★Twitter: @cubaclub98 ★ Instagram: @cubaclub98
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