野外の「ホットスポット」は工事中で、少々がっかり。Wi-Fiが使える場所だったこの公園は、2年前に訪ねたとき、大勢の人が集まって、スマホで通話をしたり、パソコンで作業をしたりしていました。
遅々として、インターネット接続が進まなかったキューバ。ですが、首都ハバナをはじめ、都市部に住む人びとのネット事情はここ半年ほどで、大きく変わりました。
ネット接続がずいぶんと世界に遅れを取ってしまった背景については、インフラ整備への資金不足、米国の経済制裁で海底ケーブルの使用が制限される、といった事情があるようです。
「キューバ政府が情報を統制するためではないか」という見方について、現地の人たちに聞くと「情報にアクセスできる自由度は高いので、それは違う」と、口ぐちに異議を唱えていました。
SNSの利用者が増えた
2018年12月から、キューバに住む人たちはスマートフォンなど、モバイル端末にデータ通信量を追加すれば、インターネットが使えるようになりました。国営の通信会社、ETECSAの店舗でデータ通信量を購入し追加してもらう、あるいはカードを購入し、自分でコード番号をモバイル端末に入力してデータ通信量を増やす、というふうに少々手間がかかります。
多くのキューバの人にとって、1MBで10CUC(約1100円)という値段は、決して安くはありません(経済、社会の仕組みが違うので、単純に比べられませんが、キューバ人の平均月収が30CUCぐらいといわれます)。
加えて、回線のスピードが遅いこともあり、多くの人はネットサーフィンなどをせずに、FacebookなどSNSや、WhatsAppなどのメッセンジャーアプリを使っているようです。
家でのネット回線は地域限定
自宅でインターネット回線を使えるのはハバナの旧市街など、まだ限られた地域のみとのこと。最低でも月15CUCほどかかり、やはり高額です。動画なども見られるスピードの回線になると、月150CUCぐらいになるようです。
こうしたネット環境でも、キューバの人と話をすると、日本のユーチューバーを知っていて驚いたりします。以前の記事「アニメオタクはなぜ多い?」で説明したように、オフラインでもネットの情報に「接続」できる方法があるのです。
旅行者として、キューバでのネット接続方法は気になりますが、現地の人がどんなネット環境で、どう世界の情報にアクセスしているかもまた、いつも興味をひかれます。
(この次は旅行者のネット接続事情です。)
Author Profile
- キューバ倶楽部編集長、ライター。ニューヨークでサルサのレッスンを受けたのをきっかけに、2000年に初めて訪れたキューバが心のふるさとに。
旅をするたびもっと知りたくなるキューバを訪れ、AERA、東洋経済オンライン、TRANSIT、ラティーナ、カモメの本棚、独立メディア塾ほか多数の媒体で記事を執筆。
2015年にキューバの現地の様子や魅力を伝える「キューバ倶楽部」をスタート、旅の情報交換や勉強会、講演会などのイベントも運営。
★キューバのエッセンスを生活に取り入れる日々をnote(https://note.com/makizoo)に綴る。
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