治安のよさはキューバ人の誇り(後編)

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キューバの街の子どもたち

キューバの街の子どもたち

 

現地の人と楽しくわいわいやっていたら、クライマックスでたかられる。キューバでそんな「おもてなし詐欺」にあったことがあります。

 

「サルサ・フェスティバルに行かない?」.

 

4年前、楽しそうな雰囲気のキューバ人カップルが声をかけてきました。現地で取材のあと、スペイン語が堪能で屈強な男性カメラマンと一緒だったので、安心してついていきました。この男女が道案内をしてくれたり、日本の話で盛り上がったり、親切でフレンドリーな笑顔が印象的だったのですが…。

 

コンパイという名の怪しいカクテル

キューバの代表的なカクテル、モヒート

キューバの代表的なカクテル、モヒート

 

「今日はブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのメンバーが来るよ」という「野外のサルサ・フェスティバル」はまだ始まっておらず、一杯飲みましょうという流れに。そして「コンパイ・セグンド(ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのギタリストの名前)」というカクテルが4つ出てきました。

 

乾杯ならぬ「コンパイ!」なんてふざけながら、一緒に写真を撮り、ドリンクを飲みほしたころ、何だか怪しい雰囲気に。キューバ人カップルはもう一杯飲みたそう。そして、「実はお金ないんです」と困り果てた顔でうったえてきます。こちらが渋っていると、顔つきが険しくなって悪者色を帯びてきた。

 

ハバナでモヒートは3CUC(米3ドル、300円超)ぐらいから飲めるのですが、この「コンパイ・セグンド」は15CUC。どうやらバーの店員とグルになっていたようでした。

 

お金がないと言って逃げる 

 

夜のキューバ

夜のキューバ

 

キューバは現地通貨と外国人の通貨が約25倍違う事情もあるので、一緒に飲んだり食べたりしたら、観光客が代金を支払うことも多い。

 

でも、図ったようにぼったくりプライスをふっかけられてはこちらも悔しい。というわけで「目には目を」で応戦。「私たちは仕事で来ました。出張の予算がほんの少ししかなくて、お金がぜんぜんありませーん」と負けずに困り顔をしたのです。

 

そして、自分たちの分だけお金を置いて、逃げるようにその場を離れました。そんなしょっぱさを味わったのは、実はキューバで一度や二度ではありません。

 

もちろん、声をかけられたら聞こえないふり、スペイン語や英語がわからないふりをすれば、意図を持って近づいてくる人にたかられることもないかもしれません。

 

とはいえ、現地の人と話すのも旅の醍醐味。「キューバでは一番お金を持っている人がみんなの分を支払うことが多い」と、申し訳なさそうにコーヒーをすすっていた学生さんもいれば、「レストランを案内してあげた僕のコミッションとしてビールを一杯お願いします」とわかりやすく主張する若者にも出会いました。

 

お金を使わせないキューバ人も

 

もちろん、キューバ人もいろいろ。日本のアニメが大好きな、友人のキューバ人夫婦は自宅に招いてくれて、コーヒーや食事をふるまってくれ、「観光客である私たちにお金を使わせない」配慮をしてくれます。

 

ところが、2015年にキューバを訪れたとき、日本人女性ふたりで歩いていても、「フレンドリーに近づいてきてたかる」人たちにまったくあわず、逆に10代ぐらいの青年に「ビールをごちそうしたいのですが」と言われるハプニングもあったのです。

 

「いったい何が起こっているのか」。くだんのキューバ人夫婦に聞いたら、「差別もしたくないし、偏見に満ちていたら申し訳ないけど」と前置きして、「ここ数年中国人の留学生が増えていて、彼らはきっぱりと(たかりの類を)断る。だからアジアの人におごってくれと言わなくなったのでは」との見立てでした。

 

真相はこれいかに。

 

【追記】現地の治安について、前編では安全面を強調しましたが、5年ほど前にはバーのカクテルで睡眠薬をもられて強盗にあったという話を聞いた人がいたそうです。またキューバの旅行代理店の情報では、2015年現在、警察の目が行き届いている観光客の多い場所は比較的安全ですが、現地の人が暮らしている場所などでは金品を狙われないよう、より注意が必要だということでした。

 

前編記事はこちら

→治安のよさはキューバ人の誇り?(前編)

Author Profile

斉藤 真紀子
斉藤 真紀子
日本経済新聞米州総局(ニューヨーク)金融記者、朝日新聞出版「AERA English」編集、週刊誌「AERA」専属記者を経てフリー。共著に「お客様はぬいぐるみ」(飛鳥新社)。趣味はラテン音楽&ダンス、カポエイラ(格闘技)
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