キューバのこわいトイレ事情〜便座でスクワット!?〜

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キューバのトイレ

旧市街の中心街に立ち並ぶ、歴史あるホテルにトイレを借りにいったときのことです。ホテルの入り口で、男性従業員がふたり、笑い転げていたので、一緒にいたキューバ人に、「何がそんなにおかしいって言っているの?」と聞いたら、「ホテルのトイレ掃除の女の人はいつも機嫌が悪いから、旦那さんとうまくいっていないに違いないって話してるよ」と返ってきました。  

エプロンドレスを着てトイレ掃除をしていた、その「不機嫌な女性」と入れ違いに、私はホテルのトイレを借りました。

すると、水量が足りないのか、機械の具合が悪いのか、しっかり流れない。「流すボタン」を力強く押しても、長く押しても鈍い反応です。次第に私もイライラが募ります。

「ああ、これか」。  

「トイレ掃除で不機嫌になる理由」について、入り口で笑っていた男性たちに一言、「夫婦関係ではなく、トイレが悪いのだ」とモノ申したかったのですが、ひとしきり奮闘して出てくると、彼らはもう、そこにいませんでした。

スクワットで用を足す

門構えのしっかりしたホテルのトイレでも、こんなことが起こり得る、キューバのトイレ事情。ホテルの部屋や民宿では、清潔でしっかり流れるトイレがほぼ完備されていますが、レストランや民家、ライブ会場などでは、頭に大きなハテナマークが浮かんでしまうような、謎のトイレにも遭遇します。  

思わず立ちすくんでしまったのは「便座がないトイレ」。なまじ、楕円形の便器サイズが大きいため、無理やり腰かけようものなら、中に落ちてしまいます。かといって、男性のように立ったままで用を足すわけにもいかず、結局スクワットの姿勢でこらえて、のりきりました。  

ライブ会場など、「ペーパーをわざと置いていない」トイレにも苦戦させられました。

コンサート中のトイレは、さんざん我慢をして限界に達してから行くことが多いので、一刻もはやくかけこみたい。なのに、トイレの入り口には、ペーパーをにぎりしめ「小銭を置いた皿」とともにお姉さんが座っていて、「チップ置いていきなさい」と強い目で語りかけてくる。

現地ペソで小銭を置いているキューバ人をしり目に、「(外国人通貨の)1CUC(セーウーセー)では払い過ぎだよね」などと考え、そうはいっても「紙なしでことを済ませるのか」と自問し、ひとり冷や汗をかく展開に。

ウォッシュレットモードからの脱却

結局、人ごみをかきわけ、ライブを楽しんでいる友だちのところまで戻って「ティッシュ」を借りにいき、セーフ。最初から、紙を持って外に出ましょう、というのが結論です。  

というわけで、未知との遭遇ならぬ、トイレとの遭遇には事欠かないキューバですが、発見もあります。

「ウォッシュレットモード」から「現地トイレモード」に切り替わると、トイレは単なる機能でしかなくなり、快適さを求めなくなる。

しかし、トイレ天国の日本に帰るとまた、「駅の公衆トイレは入れないなあ」なんて思ってしまうのですが。

Author Profile

斉藤 真紀子
斉藤 真紀子
キューバ倶楽部編集長、ライター。ニューヨークでサルサのレッスンを受けたのをきっかけに、2000年に初めて訪れたキューバが心のふるさとに。
旅をするたびもっと知りたくなるキューバを訪れ、AERA、東洋経済オンライン、TRANSIT、ラティーナ、カモメの本棚、独立メディア塾ほか多数の媒体で記事を執筆。
2015年にキューバの現地の様子や魅力を伝える「キューバ倶楽部」をスタート、旅の情報交換や勉強会、講演会などのイベントも運営。
★キューバのエッセンスを生活に取り入れる日々をnote(https://note.com/makizoo)に綴る。
★Twitter: @cubaclub98 ★ Instagram: @cubaclub98
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