余韻がまだ残っています。キューバの旅から帰ってきて、1週間が経ちました。
目にする色、飛び込んでくる音、鼻をくすぐる香りがあまりに鮮かだったキューバの1週間。梅雨どきの日本に戻ってしゅんとしてしまうのは、ちょっとしたキューバロスでしょうか。
とりわけ、セントロ・ハバナ(旧市街と新市街の間にある住宅街)の街歩きは鮮やかで、騒がしくて、かぐわしくて、やめられなくなります。
曜日ごとに違う匂いが
ある月曜日の朝は、週明けということでゴミが多かったのでしょうか。ここかしこに、ごみの山が積み上がって強烈な匂いを放っていました。
このときはゴミ臭をキャッチしまくっていた私の鼻は、なぜか、同じゴミ掃除の時間帯を歩いても、翌日、翌々日と異なる香りを拾うことになります。嗅覚とは不思議なものです。
モップとちりとりで道を掃き清めるのはたいそう時間がかかりそうだなあと思っていたら、赤いリボンの麦わら帽子をかぶって、掃除をしているお兄さんが目に入りました。
仕事をしているところを撮りたくて、「そのソンブレロ(麦わら帽子)いいですね」と話しかけたら、どうぞとばかり、かぶっていた麦わら帽子を脱いで、私にくれようとします。
「いえいえ、写真を撮らせてほしいんです」というと、ちょっとはにかんで、ぐいっと胸をはります。そのTシャツが唐突に色っぽかったので、ずっこけそうになりました。
「ありがとう」と言って、少し離れて、作業をしている様子もこっそり撮ろうとすると、カメラを構えた私に気付いて、掃除のお兄さんは胸をそらせ、ポーズを取ってくれる。しばし、互いに、それを繰り返してしまいました。
早朝の柔らかい陽射しの下で、お茶目で気のいい掃除のお兄さんの仕事はまだまだ続きそうです。
Author Profile

- キューバ倶楽部編集長、ライター。ニューヨークでサルサのレッスンを受けたのをきっかけに、2000年に初めて訪れたキューバが心のふるさとに。
旅をするたびもっと知りたくなるキューバを訪れ、AERA、東洋経済オンライン、TRANSIT、ラティーナ、カモメの本棚、独立メディア塾ほか多数の媒体で記事を執筆。
2015年にキューバの現地の様子や魅力を伝える「キューバ倶楽部」をスタート、旅の情報交換や勉強会、講演会などのイベントも運営。
★キューバのエッセンスを生活に取り入れる日々をnote(https://note.com/makizoo)に綴る。
★Twitter: @cubaclub98 ★ Instagram: @cubaclub98
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